亭戯譚

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詩-2「浜辺の月」

浜辺の月は寄る辺なく

いつも何処かが欠けている


僕はそれに腰かけたく

白黒の砂の上に立つ


蒼黒い海の白波からは

細長い腕が飛び出すようで


それに引き摺り込まれまいと

僕は両足を踏んじ張る


浜辺の月は青白く

いつもにこにこ笑っている


僕はといえば夜闇の内

それへの執念で道をゆく


僕はといえば人の間を

あきらめのうちに歩んでいる